好いお天気ですね。

 自分で少し滑稽に思えて、くすくすと嗤った。


※ ※ ※


 嗤っていたら、親友が笑い事じゃありませんよ、と言って俺の頭を殴った。
 痛みは殆どなかったが、何となくいて、と言ってしまった。


「こんな大怪我して、何考えてるんですか」


 と、親友が問うから、さあ、と答えたら、親友は怒りと心配が綯い交ぜになったような目で見てきたので、大丈夫、なんて根拠のないことを言った。

 多分俺はこの言葉を最期までこの親友に言い続けるのだろう、なんて、訳のわからないことを考えながら。

 暫くは半信半疑と言った様子で俺を見ていたけれど、やがて溜息を吐いて親友は道具を片付け始めた。

 ああ、こんな日常も、多分もう直ぐなくなるのだろう、なんて思ったら、少しだけ泣きたくなった。
 涙を半ば無理矢理笑顔に変えて、窓の外を見遣った。


「……ええ天気やなあ」


 と呟くと、親友が変な顔をして、何言ってんですか、と言った。


「思いっきり曇ってるじゃないですか」


 何て溜息交じりに言うものだから、俺はそれが可笑しくて、また嗤った。
 そしたら親友は、今日のハルカさんは変ですね、なんて、大真面目な顔で言った。
 それがやっぱり可笑しくて、俺はもう一度嗤った。


「機嫌がええんよ」


 と言ったが、窓の外から大嫌いなあいつの声が聞こえたから、多分もう直ぐ機嫌は悪くなるのだろうけど、それもまた好いなんて、いつもなら思わないようなことを思った。
 何故だかは何となくわかったけれど、この優しい親友には、できることなら永遠に、言わないでおこうと思った。
 こうして俺は俺の大切な人たちを騙し続けるのだろう、と半ば予感めいたものを、抱きながら。



軍人のお兄さんと関西弁のお兄さん。
もしもネタ。

UP:06/03/24
加筆修正:06/07/01