いつも、この手は、何かを掴む事無く、空を切る。
そのたびに、私は、自分の弱さを思い知る。
私が天使だったときから、そう。
天使だったとき、人を救うことが出来なかった。
いくら手を差し伸べても人は不幸になっていって
救うことも出来ず私はいつも見ているだけで
酷く自分の無力さを思い知らされて
ひとひとりすくえずになにがてんしだと
そして私は優しい悪魔を失った。
向こうで小さな彼が手を振っていて。
手を振りながら走るものだから何時転ぶかと冷や冷やして。
案の定転んだから持ち上げて起こしたらいきなり抱きついてきてへらりと笑ったから。
今はこの平穏と幸せを失くすことのないように守ろうと。
それすら奪うというのなら、私は世界だって神だって敵に回すのだろう、と思いながら。
小さく口の端に笑みを乗せた。
(……なんだろうこれ!)
UP:06/04/15
加筆修正:06/07/01