君の正義/誰かの悪
『軍人さん、俺らは、正しかったんか?』
それは無意味な問いかけだったかもしれない。
いや、無意味な問いかけだったのだろう。
けれど。
※ ※ ※
気付けば、暫く彼に会っていなかった。
まぁ、お互いに仕事が忙しいときが重なったりするとこういうこともあったが、連絡すらしなかったのはこれが初めてかもしれない。
原因はあのときの会話だったのかもしれないな、とぼんやりと思った。
別に特別な会話をしたわけではなく、いつも通り、互いの近況やくだらない話をしただけだった。
ただひとつ、帰り際に彼が洩らしたあの言葉以外、は。
『なぁ、軍人さん、俺らは正しかったんか?』
何に対する問なのかは解っていたから、何が、とは問えなかった。
それに彼は確かにただ一言『すまん、変なこと言うた。忘れてや』と苦笑しながら言って去ったから。
――正義、や、正しいこと、ほど曖昧なものはない。
それらは見方によって幾らでも変化する。
故に自らの正義が必ずしもどこかの誰かの正義になるとは限らないし、他人から見たら悪なのかもしれない。
そういったことが解っているからこそ、彼も忘れろと言ったのだろう。
なのに。
「……連絡もなし、っていうのは、逆に気にしろって言ってるようなもの、なんですけどねェ」
そうぼやいて一人溜息を吐くと、突如電話が鳴った。
三回目のコールの後に出る。
「――はい?」
『おー、軍人さん? 俺やけど』
「……ハルカさんですか?」
『
耳に良く馴染む、柔らかい流暢な関西弁が鼓膜を叩く。
久し振りに聞いたせいか、元気そうな声に少し安心した。
「俺って貴方、振り込め詐欺みたいなことしないでくださいよね。
……それより、どうしたんです、今日は?」
問うと、電話越しでもわかるほどにこにこと機嫌の良さそうな声が返ってくる。
何か良いことがあったらしい。
『いや、久し振りに一緒にどっか行かへんかと思うて。
来週辺り空いとるか?』
「ええ、是非。来週は丁度予定なしです」
『そら良かった! せやったら――』
彼が言いかけたところで、先生、と電話の向こうから女性の呼び声がした。職場からかけていたらしい。
彼の声の雰囲気ががらりと変わる。
いつもながらの見事な変わりよう。
『ああすいません、すぐ行きますね。
……すまん、軍人さん。あとでまたちゃんと連絡するわ』
どうやら最近は本当に忙しかったらしい。
私は苦笑を零しながら、ええまた後で、と言って通話を切った。
次会うときは仕事の愚痴も聞いてあげようと思いながら。
TEL。ニヒトさんお借りしました。大分ご無沙汰してたので久々に。
前半殺伐、後半ほのぼの……かしら。
前半よくわからないテイストになりましたよ! 実は後半書きたかっただけとか、そんなこと、ありませんから!
ちなみにДа=Yesです。
前半殺伐、後半ほのぼの……かしら。
前半よくわからないテイストになりましたよ! 実は後半書きたかっただけとか、そんなこと、ありませんから!
ちなみにДа=Yesです。
お題提供:ロメア(http://rei.my-sv.net/r/)
UP:06/06/22
加筆修正:06/07/02
UP:06/06/22
加筆修正:06/07/02