01 // 歪

 ゆら。

 この世界は、平和だ。
 平和すぎて、平穏すぎて、反吐が出る。
 いっそのこと皆殺しにしてやろうかとも思ったが、寸でのところで止めた。
 そう、それでは“俺ら”が“こっち”に出る意味が無くなる。
 そして背後の気配に言う。

「――おいこら、人形野郎。何の用だ」
「いや、別に何も。様子見しに来ただけや」

 半ば睨みつけるように振り返ると、鮮やかな金髪を風に靡かせた人形野郎――ハルカが立っていた。
 口元には相変わらずの微笑。

「どうせお前の“マスター”サマのご命令だろォ? とことん人形みてェな野郎だな」
「人形は笑ってりゃええもんやで? ただ主の寵愛を受けるだけでな。
 俺はどっちかってぇと、機械人形(アンドロイド)かも知れへんなぁ」

 くすくすと笑いながら、ハルカはそう言った。
 何が機械人形(アンドロイド)か。人形には変わり無いだろうが。

「ンな気色悪ィ機械人形(アンドロイド)なんぞ売れねェよ。
 用が済んだらさっさと行け女顔の似非人間が。ご主人サマの膝の上でにゃあにゃあ言ってンのがお似合いだぜェ?」

 投げ遣りにそう言うと、僅かに奴の笑顔から柔らかさが消えた。
 そして僅かな殺気。
 ちと煽りすぎたか。

「酷い言い様ですね? 今すぐその舌引っこ抜いて差し上げましょうか」
「うっせェな、マジになってんじゃねェよ人形野郎」
「煩いのはどちらでしょうね色狂い? 削ぎ落としますよそのご自慢の一品」
「本能に忠実って言え。お前如きに削ぎ落とされてたまるか」

 笑顔だけは消えないまま。
 ――気に喰わねェ。
 そして奴が問う。

「……さっき、何で俺が本気だと?」
「お前、マジになると敬語に戻ってンだぜ」
「……気付きませんでした」

 あぁ、やっと崩れた。微妙に、だが。
 目標ひとつ達成。

「俺ァあいつ探すからもう行くぜ。じゃァな人形野郎」
「あの人にも宜しゅう伝えといてな」
「誰が伝えるかカス」
「穴だらけのボロ雑巾にして差し上げましょうか」
「誰がされるか」

 ひらり。

 もう、靡く金糸は見えない。
 さぁ、黒と白の娘はどこへ行った?
うらのひと。
青目のPと金髪Hとか思えば良い。

裏P→俺様ジャイアニズム欲望に忠実超口汚い(吸血鬼の本能全開のPだと思えば良いと思う!)
裏H→物騒人形常時爽やか笑顔装備女顔声高め(父親に育てられたHだと思えb(ry)

UP:05/11/08
加筆修正:06/06/30